2016年3月2日水曜日

グラフェン(超潤滑現象)とボロンナイトライド

超潤滑現象

その名の通り、驚くほど小さな摩擦しか発生しない現象のことである。

自転車乗りにとって、なんとも甘美な響きである。

超潤滑現象の概念は下図のようなことらしい、これでは何のことかわからないので詳しくは後述。




出典:科学技術振興機構報 第1168号 http://www.jst.go.jp/pr/info/info1168/



なおグラフェンとダイヤモンドの接触面では摩擦係数がほぼ0になるとのことである
(米アルゴンヌ国立研究所→http://www.anl.gov/articles/slip-sliding-away-graphene-and-diamonds-prove-slippery-combination)。

あー、あれだな、つまりハブのカップとコーンがグラフェン・コーティングで、ボールをダイヤモンドにすればいいんだな。逆でもいいや。早速、買いに・・・


グラフェン


”グラフェン (graphene) とは、1原子の厚さのsp2結合炭素原子のシート。炭素原子とその結合からできた蜂の巣のような六角形格子構造をとっている。名称の由来はグラファイト (Graphite) と「ENE」から。グラファイト自体もグラフェンシートが多数積み重なってできている。” 
出典 wikipedia → https://ja.wikipedia.org/wiki/グラフェン



グラフェンの分子構造モデル(wikipediaより)


グラフェンと摩擦係数について資料

科学技術振興機構報 第1168号→ http://www.jst.go.jp/pr/info/info1168/

グラフェンの超潤滑の概要(岡山大の新技術説明会(2013/12/17)から)

http://shingi.jst.go.jp/abst/p/13/1349/okayama_2.pdf


これら資料から解ることは、グラフェンを潤滑で使う場合極端な話ベースになるオイル自体不要であり、水にグラフェンを溶かすだけで非常に良質な潤滑材になるとのことである。今使われているグラフェンは非常に細かく(細胞よりも小さい)の小片であり、金属に付着しやすく水中でも拡散しやすい。このようなグラフェンの性質は潤滑材・添加剤として使うのに非常に優れたものである。特に金属に付着したグラフェンは、金属表面を極圧材のようにコーティングし、金属同士の接触を防ぎ磨耗も抑えることができる。価格も量産できれば1gで1円程度にできる可能性があるということで、この点でもいままでの添加剤よりすぐれている。

文句のつけようがない。




測定方法の説明と摩擦測定結果
出典:科学技術振興機構報 第1168号→ http://www.jst.go.jp/pr/info/info1168/



まとめ

*グラフェンを表面にコーティングすることにより、機械部品同士の摩擦を低く抑えられる技術の実現が期待できる。
*ナノ領域で部品間の摩擦力が極端に増すナノマシーンへの応用が期待される。

出典:科学技術振興機構報 第1168号→ http://www.jst.go.jp/pr/info/info1168/

自転車に応用される日もそう遠くないはずである。ひとまずチェーンルブとワイヤーの潤滑ぐらいかな。



超潤滑ビジネス

『高濃度グラフェン・ルブ』『グラフェン・グリース』『空気抵抗激減、グラフェン・カー・コーティング』『油がなくても焦げ付かないグラフェン・フライパン』『お肌がツルツル、グラフェン・ファンデーション』『スラスラかけるグラフェン鉛筆』(鉛筆・・・・もともと黒鉛で・・・・)とか、とにかくグラフェンらしきものが入っていそうな怪しげなケミカル関連市場が作られるでしょう。(カーボンナノチューブの時もそうだったな・・・・)

たぶん関係者の皆さんは胸を熱くしながら報道を聞いているはずだ。




最後に注意事項

グラフェンには健康被害の懸念が報告されている。


グラフェンが健康被害を及ぼす可能性、米大学が指摘
出典:ITmedia http://eetimes.jp/ee/articles/1307/25/news051.html


シンガポールA*STAR、生体細胞に対するグラフェンの毒性を研究


簡単に言うとグラフェンが細胞に侵入し、内部から破壊できるということである。
まあ何にでも危険な面はあるので、注意は怠るなということであろう。

(放射性物質が怖くて、ラドン温泉も入れない方を知っていますが、これも程度の問題。くわしくは”ラドン温泉”、”健康”といったキーワードで検索してみてください。)




いま手に入れられる代用品
グラフェンが入手できるにはまだ時間がかかりそうである。しかしながら代用品はある。
ボロンナイトライドがそれである。(自動車の添加剤としては結構有名)
このボロンナイトライド、ホウ素と窒素の化合物である。ホウ素は炭素と性質が似ている上、ボロンナイトライドの結晶構造はグラフェンと酷似している。
(参照 wikipediahttps://ja.wikipedia.org/wiki/窒化ホウ素)

ボロンナイトライドの結晶構造


グラフェンの結晶構造



結晶構造だけでなく、このボロンナイトライドの薄膜同士は互いに滑りやすく、「白い黒鉛」(ホワイトグラファイト)と呼ばれるほどである。ただグラフェンほど金属の表面に付着しやすいものであるかは、よくわからなかった。
 ひとまずこのボロンナイトライドが、添加剤として含まれている自転車用のグリースやルブを探してみると・・・・・あった。





番外編
おっとそういえば最近、グラフェンを使ったこんな製品があったな。
グラフェンはグラフェンでも、潤滑ではなく別の性質を活用しているらしい、効果のほどは知らないが。








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2 件のコメント:

  1.  それにしても久保田博士の炭素結晶の競合モデル(CCSCモデル)はものづくりの本質に迫ると評判が高い。

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  2. 久保田先生の論文拝見させていただきました、ここまで緻密に研究されているとはと思い感銘を受けました。門外漢なので理解できているかどうか・・・・ですが。

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